白岳のタケノコ

この季節になると、ソラマメとタケノコを食べたくなるのであるが、今年はどちらもめっぽう高い。まあ、それでも旬のものだから一度は食べようかと、398円のソラマメを一袋買って莢をむいたら、まともな大きさの豆が14粒しか入ってなかった。1粒あたりに換算すると28円もするのである。その話を深圳の朋友にしたら「3粒で朝ごはんが食べられる。」と言って驚いていた。たしかに深圳のような物価の高いところでも、100円も出せば河粉なり腸粉なり、簡単な朝食はとれるものである。昨年の天候不順から続く野菜の高騰、という事情があるにしても、難儀なことである。この時期、江南あたりを旅していたら、皿に山盛りのソラマメの炒め物を食べられたものであるが。

ついでに言うならタケノコも今年は高価である。子供の時分は、タケノコなどは近所の人の所有する竹藪のタケノコを山ほどもらって、これが毎日食卓に並ぶので食べ飽きるほどであった。実際、子供の舌はアクに弱いもので、タケノコを食べた後の舌やのどの奥が少し焼け付く感じが苦手でもあった。しかし今は数片の煮物でもありがたい感じがする。日本で孟宗竹のタケノコを食べるこの時期は、江南では真竹のような、少し細いタケノコを炒め物などにして旬の味として食べている。徽州の方では孟宗竹のタケノコはまだ雪をかぶっている時期に掘って食べるのであるが、初夏のこの時期になると、成長させてから乾燥し、保存して一年中食べるのである。

書こうと思って書ききれていないことはたくさんあるのだが、数年前に徽州の白岳に登ったのもその一つである。白岳や黄山は、清朝初期から墨の意匠として多用されるようになった名山である。白岳や黄山の山水画、いわゆる白岳図や黄山図が墨の図案に多く採られるようになったのは、おそらくは明末清初の石濤あたりが、白岳や黄山の山水図を描くようになったことと関連しているのではないかと考えている。
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それはさておき、いつかの夏に白岳に登った際、山中の飯屋で昼食を採った。白岳は山岳信仰の山であるから、山上に旅館やホテルがあり、小さな集落を成しているのである。一軒の飯屋に入ると、店には大学生くらいの娘さん一人しかいなかった。学校では日本語を勉強しているということで、今は夏休みで帰省し、店を手伝っているのだという。このような山上の小さな飯屋にはメニューなどはなく、その時あるものしか出せないのである。何でもいいから食事を、というと、しばらく食堂に引っ込んで作ってくれたのが、この料理。
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おそらくは干したタケノコを水に戻して、(自家製の)中華ハム少しと一緒に醤油炒めにしただけの簡単な料理である。空腹、ということもあったのだろうが、ひどくうまかった。日本では干したタケノコを常食するというのはあまりないように思えるが、江南では乾燥したタケノコを年中利用するのである。
20170428_R0051903.jpgそれも日本のようにラーメンの上に数本載っているかどうか、というようなものではなく、山盛りの一皿で出てくるのである。タケノコの年間消費量はいかばかりであろう。ついでに日本へも水煮のタケノコは大量に輸出されている。竹林も手入れをしないと良いタケノコが採れないというが、いったいいかばかりの竹林が地表を覆っているのであろうか.......?
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ちなみに大陸ではタケノコは肉と一緒に調理されることが多い。『浮生六記』では、タケノコを食べすぎて無性にのどが渇く、という話が出てくる。タケノコを食べると血を失うという考え方があり、たくさん食べるなら、増血のために肉を一緒に食べたほうが良いという。あるいはアクの強さを忌避する意味かもしれない。
そういえば、ソラマメもあまり食べすぎては良くないという。その割には皿に山盛りで出てくるのであるが。ソラマメは酸性が強い、という話を聞いたことがあるが、それが理由であろうか。もとより14粒で多いということはなかろう。タケノコもソラマメも、日本にいては、今年は食べ過ぎることは出来なさそうである。
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