代購昨今

.........日本で不動産業を営む朋友がいる。もともと大陸からの留学生同士の夫婦だったのだが、苦心の末、日本で不動産屋を始めるに至ったのである。
 

その彼らが先日、日本で医薬品や化粧品を仕入れられないか?と聞いてきた。むろん、当方にそんなルートはないのである。どういうことかと聞くと、大陸から日本へ来る日本製の日用品の代理購入者、いわゆる”代購”へ卸売りをしたいのだという。いわゆるブローカー業を始めたいということか。

一時、留学生や日本在住の中国(に限らないが)の人々の間で、小遣い稼ぎに流行っていたのがこの”代購”である。日本の小売店でまとめ買いをして、大陸に発送するのである。ために大陸の税関が小荷物でごった返したことがある。しかし現在の主流は、大陸から直接日本にやってきて買い付け、スーツケースでハンドキャリーして帰るのだそうである。それでいかほどの稼ぎになるのかは商材によるのであろうが、月に1〜2回ほどの渡航で、向こうの平均月収ほどは稼げるのだそうだ。

これを副業としてやっている人もいるが、今や代購に専従している人も多いのだという。

昨今、話題に上がる”民泊”であるが、民泊の利用者は.......大阪に限る事情かもしれないが......こうした代購者たちの利用が大半なのだという。不動産屋の朋友は大阪ミナミ周辺の民泊物件にも詳しいのであるが、民泊の利用状況から推察して、代購者の数は去年の倍に増えているのだという。当然、それに伴って、日本で購入され海外に持ち出される商品も増えているのだろう。
日本へ観光旅行に来た人々がドラッグストアなどでまとめ買いをする、いわゆる”爆買い”は、既に収束したかのように言われている。しかし収束したというより、水面下で新たな段階に入っているのかもしれない。
ひとつには昨今の中韓の関係悪化で、韓国製品が大陸から締め出しを食っている、ということも影響しているだろう。韓国を往復していた代購も、日本へやってきている、ということである。

少子化で、放っておいたら消費が伸び悩む日本にとっては、これはこれで、まあ良いことかもしれない。一時、香港に押し寄せていた代購も今は影を潜めている。地続きの大陸からやってきて、香港の小売店から日用品を根こそぎ買ってゆく大陸の人々に眉を顰める香港人も少なくなかったものである。ひとつには、香港は消費地であって生産地ではないので、供給がすぐに追いつかなくなる、という事情もあっただろう。この点、日本国内で製造されている日用品に関しては、ある程度はなんとかなるのかもしれない。
電子製品に関しては、日本国内でも日に日に大陸製の部品、製品が増えている昨今である。しかし化粧品や日用品、医薬品の方は、なかなか同じ品質のモノを作れないということである。
たしかに、”ハイテク”ともいわれた電子製品といっても、現在はほとんど”プリント”、つまりは印刷と同様に、生産設備があって部品が調達できれば、どこの国でも作れてしまう時代になっている。電子製品を実装する製造装置、工場設備をそろえれば済むのである。また、設計データやプログラムはデータ化されているため、すぐにコピーや流用も可能である。さらに言えば、ここ十数年、左前の日本の電機電器メーカーから、エンジニアが大陸に大量に採用された、という経緯もある。

しかし化粧品や医薬品などは、製造装置自体、メーカー各社独自の仕様と工夫があり、同じ装置をどこの国でも揃えられるというものではないのだろう。分離機やろ過機があったとしても、それをどう使用して材料を精製するか?どのようなプロセスで配合するか?という点については、門外不出の機材やノウハウがあるのだろう。それは一朝一夕にまねのできるものではないに違いない。
それはたとえば墨......鹿角膠を使えば良いとしたところで、ではどういう配合で使用すればいいのか?という点についての知見がなければ、意味をなさないのと同様なのかもしれない。

また化粧品や医薬品については、信頼できるブランドの形成にも、費用と時間がかかる。それをあえてやろうとしないのは、投資に見合わないと考えているからかもしれない。日本に比べてはるかに高い金利が続く大陸の人々は、”短期決戦”のビジネスを選好しがちである。

この代購であるが、そもそも日本から大陸に正規のルートで医薬品や化粧品が輸入しにくい......高率の関税や許認可等等.......という点を”突いた”商売であるから、将来的にそれら規制が緩和されれば、成り立たなくなりそうでもある。
思い起こせば、80年代、90年代の日本は、自由主義諸国から再三にわたって輸入自由化、関税撤廃を訴えられてきている。それがいまやTPPの音頭をとるまでになったのだから、時代もかわったものである。
比べると、やはり大陸市場の閉鎖性は否めない。輸入輸出の利権は大手国営商社の巨大な権益であるから、容易に手放すことは無いのだろう。大陸では輸入が規制されている製品は非常に多い。原則、中古品は輸入できない等等。
とすれば、よほど政治、社会体制が変わらない限り規制は撤廃されないであろうし、その市場の閉鎖性をついた”代購”ビジネスも、存外継続できるのかもしれない。

代購は、医薬品や化粧品、たとえば日焼け止めクリームなどをケース買いするのであるが、それでも一個人で運べる量はたかがしれている。しかし、やはりかの国の”人”の多さを侮ってはならないだろう。個人的な日用品の買い物について、いちいち申告させる制度は無いから(免税店で買っていれば別だが)、貿易統計に表れないところで相当な数字が動いているかもしれない。本来は”輸出”に該当する数字が、あるいは国内消費にカウントされているようなことになっているのではないか..........この点、少し考えさせられる。
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