浦東空港から杭州東駅に車で移動、高速鉄道に乗るまで 2018年1月

今回は、いや今回も、というべきか、大陸への渡航は日程にあまり余裕が無い。上海浦東空港に到着するや地下鉄2号線に乗り、”広蘭路”という駅で降りるとD君が車で迎えに来てくれている。スーツケース積み込んで、そのまま杭州へ移動...というせわしさである。本来なら上海で1,2泊はしたいところであるが....
商用の旅であるから、これもいたしかたないとはいえ、昔のゆったりとした大陸旅が懐かしい.......ともあれD君、黒いミニバンサイズの自分の車を運転してきている。見た目にも新車ではないのであるが......「車買ったの?」と聞いたら「友達からもらった。」という事である。手ズレ感は否めないが、まだ運転に自信が無いので練習用にこれで充分、という話である。D君は自分の会社用のオフィス・ルームはポンッと一部屋買うくらいのことをするのであるが、仕事以外はいたって質実剛健、なのである。今日日の若い老板(社長)としては珍しい人物かもしれない。

しかし走り始めても、スピードメーターが一向に上がらない........なぜ?壊れているのだそうだ......そのかわりにダッシュボードの上にスタンドでスマートフォンを固定し、このスマートフォンが速度をフロントグラスに投影している......おそらくGPSを搭載したアプリケーションが移動速度を計算して表示しているのであろうが.......車検通っているの?などという質問はするのも愚かである。他にバックミラーも、みると鏡ではない。バックミラー型のカラー液晶画面に地図が表示され、別途音声で行先をナビゲーションしてくれているのである。

D君は時折「小妹、小妹」と話しかけると、バックミラーのアプリからであろう、女性の声で「我在ヨ〜」というかわいらしい返事がある。D君はその声に向かって、誰それに電話しろだの、どこそこへのルートを検索しろだの、といった指示をすると、その通りに実行される。このAI(?)アシスタント・ソフトウェアによって、ハンドルを握りながらでも電話をしたり、ナビゲーションを操作したりできるようになっているのである。
......その昔、人工知能を搭載した、しゃべるスーパーカーが活躍するアメリカのドラマがあったように記憶しているが.......そういった自動車に、まさか大陸で乗ることになるとは思わなかったものである。

スピードメーターが壊れていたら、日本の公道は走れまい.........このような状態の車に、自前で計器類を積んで走らせているような体裁であろうか。ブレーキを踏むと、後輪のほうでギシギシという音がする。まあ、無事に着けばよことではあるのだが、D君には「一応、修理に出したほうが良いよ。」というのみである。
上海から杭州へ延びる高速道路の走行は、これがいたって単調な道のりで、日本の高速道路ではありえないような長い長い直線が続く。眠くなるのではないか?という懸念もあるが、運転歴の浅いD君にはこの方がいいようである。

高速道路の途上には、サービスエリアが設置されている。大陸に高速道路が建設され始めた当初は、サービスエリアといっても、食べるところも買うものも、いたって簡単なものしかなかったものである。しかし最近は、軽食類から本格的な食事までそろい、またご当地のお土産類も充実しはじめている。しかしD君と私の定番は”五芳斎”の粽なのである。この竹皮で包まれた粽は、今や江蘇や浙江のサービスエリアではどこでも売っている。安価で温かく、手軽に食べることが出来て至極腹持ちが良いのである。日本ではさしずめコンビニのおにぎり、というところであろうが、大陸の人は基本的に冷めた食べ物は好まない。粽がここまで拡大したのも、そういった食習慣が影響しているのかもしれない。

車は杭州東駅の、地下駐車場に駐車し、高速鉄道に乗り換える予定である。杭州市街の渋滞を覚悟したが......料金所を出たところで渋滞に巻き込まれる.......しかしこの渋滞、よく見ると道路の構造上、起こるべくして起きている。
というのは、7〜8レーンほどある料金所から、一般道へ延びる道路の幅が急速に収斂しており、最後は2車線の狭さにまで狭められている。ちょうど液体が漏斗の出口に向かうように、車同士が割り込みあいながら進むものであるから、当然のごとく渋滞するのである。車線の減少が、距離に対して急激すぎるのである。日本の高速道路でも、出口付近は渋滞しやすいのが常であるが、その比ではない。極め付きは、2車線から市街の幹線道路へ接続する箇所に信号機が設置されていることである。この信号機によって、2車線を進む車は交互に片側一車線づつしか幹線道路に合流出来ないように規制されるのである。これでは渋滞しない方が不思議である。D君と二人して、この交通システムを考えた設計者をさんざんに罵ったものであるが........

杭州市街を杭州東駅にひた走る。杭州東駅周辺は、落ちかかる西日が道路に反射してまぶしいことこの上ない。高速鉄道の出発まであと30分程度である。間に合うかどうか......何故だか”走れメロス”を思い出してしまう。ともあれ駅に着いたが、広大な大陸の駅のこと、駐車場までは距離がある。D君は駐車場に車を停めてくるから、私は先に窓口で切符を受け取りに行き、後で合流することとなった。
私の高速鉄道の乗車券は、D君が購入済みである。購入済みであるが、窓口で身分証(外国人ならパスポート)を見せて、乗車券を受け取らないといけないのである。日本の新幹線に乗る時に身分証は必要ないが、大陸旅では身分証なくしては列車の旅は出来ないのである。インターネットで乗車券が買えるようになったのは便利といえば便利なのであるが、窓口に並ぶのは相変わらずである........大陸の人々は、身分証(IDカード)があれば自動発行機を使用することが出来る。しかし外国籍のパスポートには対応していないのである。
時間が差し迫っている場合などは、これがもどかしい。以前、深圳から武漢に高速鉄道で向かった際は、時間が無いので購入完了の画面をスマートフォンで見せ、それとパスポートを提示して乗り込むことが出来た。このような手段が採れない事も無いようだが、そのような事は誰も教えてくれないのである。
しかし杭州東駅の切符売り場「售票処」には、親切にも外国人専用窓口があり、他の窓口よりは並んでいる人が少なかった。比較的スムーズに切符を受け取ることが出来た。
駅の構内に入る時には、空港並みのセキュリティチェックを受ける。大荷物を抱えていると、これがなんとも煩わしい.......電話で「候車口」の番号をD君に教えて待っていたが、車を停めたD君と合流できたのはまさに改札が始まった時であった........乗車券を改札機に通すが、うっかり切符を裏にしたり、逆さまにすると改札が通れない。改札口には係員がついており、改札機に切符を入れる要領を得ない乗客に指導している。半自動改札、なのである......ともあれ座席に座れば一安心である。

大雑把に言えば、隅々まで浸透したスマート決済もそうであるが、既存のシステムをより便利にするというより、システムの不足や不備をいきなりソフトウェアや電子デバイスが補っている、というようなところがある。日本の場合、いたるところアナログ的なシステムが成熟しているので、それをデジタルで刷新する必要性があまりない、という事もあるかもしれない。
とはいえ、今や大陸の方が日本よりもはるかに進んでいるような印象を覚えないわけにはいかない。進んでいる、進んでいるのは確かかもしれないが、では総体として「便利か?」と聞かれると、少し考えてしまうところである。
落款印01


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