豆柿の味

1月に、婺源の作硯家を訪ねた時の事。この家は農家、ではないのであるが、家で食べる野菜くらいはほとんど自分の家で作っている。毎回、奥さんの手料理をふるまわれるのであるが、今回は遠く婺源市街の塾に通う息子さんに付き添って留守であった。それで近くの”農家菜(田舎料理)”の店に行こうという事になったのであるが、食事が終わって作硯家の家に戻ってきてから「口直しに」と出された一山の果物。

豆柿

色はオレンジ色、ピンポン玉よりもさらに小さく、プチトマトくらいの大きさである。季節外れであるが、やはりプチトマトであろうか。大陸ではプチトマトは果物扱いで、食事の後によく出されるのである。それにしてはヘタの部分がやや茂りすぎにも見えるのであるが.......手に取るとひんやりと冷たく、実はほうずきの実を揉んだように、薄皮の中に柔らかくなった果肉が感ぜられる。ほうずきも食用にするのであるが、ほうずきではない。ヘタを取って、中身を吸い出して食べよという。そう、これは柿の熟柿(じゅくし)なのであった。もとは渋柿なのであろう、濃厚な甘さの奥から渋みの残りが伝わってくる。渋みが後を引くので数は食べられないが、懐かしい甘味である。

大陸では甘柿を見ることは少なく、たいていは渋柿を渋抜きした柿である。冬場には干し柿も多く出回っている。日本で干し柿もすっかり高級になってしまった感があるが、大陸の方はまだまだ安価である。それにしてもこの小ささはどうであろう。日本でいうところの”豆柿”であろうか。

”豆柿”は接ぎ木の台木にされるというが、その実はほとんど出回っていないだろう。果物は大きく甘いが珍重される昨今、小さな渋柿なぞ、顧みられることは無いのかもしれない。柿はありふれた果物であるとはいえ、山村でこのように出されれば、やはりどこか珍奇な果物に思えてくるものである。

落款印01


calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< September 2018 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM