新老坑硯 数面

年末にかけて、また何面か(数は未定。せいぜい数面)新老坑硯をお出し出来そうである。
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硯の値段をつけるというのはなかなか難しいのであるが、新老坑の場合は、当方ではおおよその大きさで決めている。それはあくまでおおよそ、であって、作行きや材質にも判断が引きずれられる場合もあるのだが、作行き、デザインは好みもあるのであまり自分の主観が入らないように心掛けている。龍が彫ってあるから高貴で高く、キノコや白菜をモチーフにしているからと言って、庶民的だから安い、という事は基本的にしないようにしている。龍がキノコより偉い、という見方は、現代の価値観にはないからである。しかし彫琢の出来栄えは、たしかに希少性もあるから、多少は反映してあげないと作硯に失礼である。それくらいの匙加減は許されるであろう。それもあまり行き過ぎると、硯ではなく彫刻を売っているのに他ならなくなる。
上品といい、品格という。品の良い品物は、ながらく手元において、飽きがこないものである。それは味覚であっても、あるいは人物であっても、本来そういうものなのかもしれない。
上品な作硯というのは、確かにある。それはあまりゴテゴテとしたものではもちろんなく、大抵の場合、硯石の自然な形状を生かした、至極あっさりとした造形なのである。淡白が上品というのは、それはお前の主観だろう、というのはそうかもしれないが、上品なクドさ、というのは寡聞にして聞かないのである。
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また、昔は古硯が高く、新硯は安かった。新しい硯はいくらでも作れるから、という事情もあった。しかし端溪の旧坑洞が閉鎖されて何年もたち、旧坑系の硯があまり造られなくなって久しい。古硯という場合、100年以上は古い硯を言うが、当然、人の手を経ている。一般的に言うところの「中古品」なのであるが、硯の場合は地質学的時間を経た岩石が原料であるから、採掘されてからたかが数十年から数百年、人の手を経たかどうかで、使用法が適切であれば質は変わらない。
端渓に限らず、硯は作硯をしたばかりでは、ノミ跡が白く残っっている。これを消すために墨を塗るなどして、白っぽい線を消すのである。また新硯を仕入れた後で、それを鑑別するために、佳墨を磨って”養硯”あるいは”洗硯”という作業を行う。ゆえに鑑別が済んで、すぐに墨を磨ってもいいように状態が整えられた硯というのは、おおかれすくなかれ、墨が磨られ、薄く表面を墨が覆っているのである。
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ゆえに、古硯か新硯か、中古か新品か、という事も区別はしていない。硯の場合は、古いからといって価値は増すことがあるが、価値が減ずることは無いからでもある。
当方の手に渡った段階で、誰かの手を経ているかもしれないし、あるいは新品のまま在庫で眠っていた可能もある。新老坑かどうかの鑑別は重要であるが、新品かどうかはあまり重要ではない、という考え方である。なので、他人の手を経た硯などは触れたくないといったような、とても神経質な方にはお勧めできない。(作硯家以外、少なくとも当方の手は触れているのであるから)
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基本、硯には箱がついている。もとからついていた箱もあるし、当方であつらえた箱もある。それも、原則として値決めには影響させていない。巷間、良い箱のついた硯は高く売れるのも事実であるが、箱の出来栄えや状態を云々し始めると、実用本位の硯の提供が出来なくなるからである。硯に問題がないのに、箱に文句を言う向きも、ないことはないのである。とはいえ、箱の無い、裸の状態の硯をお出しするのも忍びないものがあるので、箱の無い硯は箱が出来てから店頭に出すようにしている。
なので商品写真にも、あまり箱は写らないようにしている。箱はオマケ、くらいにお考えいただければ、とも思う。
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新老坑が無い無い、と言いながら、まだあるじゃないか?と言われると恐縮である。しかし在庫が百ほどもあれば無い無いとまでは言わないが、数点づつ集めては出している状態なので、いつまで入手可能か、断言せよといわれても出来かねるのである。わからない、というのが正直なところ。
ともあれ、お買い上げいただいた硯も、幸い数十という数にはなっているようである。ありがたいことに、クレームや返品はまだ一度もないのは、新老坑の力か、お客様の見識高いことか、あるいはその両方か。
値段も、近頃の端溪硯の実情に合わせると高くなってしまうので、なるべく低く抑えているつもりであるが、大きさがあるとやはりある程度の値段にならざる得ないのが、心苦しいばかりである。
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