令月和風

.........令和を記念した筆の制作を依頼したのは昨年の晩秋の頃であったが、先日その筆がようやく完成したという連絡があった。これは現地から送られてきた筆の画像である。

「令和」のもとになった万葉集には「初春令月。氣淑風和。」とある。この語順に従えば「風和」であるが、ここはいささか和製漢文の気味がある。漢語的には「和風」でひとつの単語であり、「和風甘露」という瑞祥を表す語がある。「令月」という吉祥を表す名詞に接続する語としてはやはり漢語的に「和風」という名詞であるべきと考え「令月和風」とした次第。
完成したのは今年令和二年だが、製作は令和元年の冬に始まっているから正しく令和元年を記念している、とお考えいただいてよろしいかと思う。もともと良い筆の制作は冬季に行われるものなのである。

とりわけ長鋒の羊毫筆を”鶴脚”という。一般的な万能筆は”玉蘭蕊”であるが、玉蘭蕊の中鋒筆としては弊店には”飛花入硯池”がある。鶴の存在は長壽を祈念する吉祥でもある。新しい御代の始まりを記念する筆として、あえて鶴脚筆とした次第。
長鋒の鶴脚は長い筆鋒に墨を多く含むことが出来るので、行草仮名の連綿など、墨継ぎを減らしたい書体を条幅で書く場合に好適である。しかし痩金体の楷書や、隸書に用いても良い筆である。長鋒で楷書を書く場合、ゆっくりと丹念に運筆しなければならない上に、懸腕が安定していないと線が振れるものである。ゆえに運筆の力を付けるためにあえて長鋒で鍛える、という練習法もある。

昨今の情勢もあるが、それ以外にも諸般の事情があり、いつもよりだいぶ制作に時間を要している。同時期に依頼した新作の筆はあと3種類あり、羊毫狼毫の兼毫筆は現在刻字の最中であり、また2種類の筆はこれからラベルを送って筆に貼付してもらうので、全体が完成するのはもう少し先になる。
時期が時期なので焦らず仕事をしてもらって、確実に入荷を図りたいと考えている。何かあったときに現地に飛ぶ、というようなことは当面出来ない情勢であり、また次に依頼する筆のオーダーもどうなるかわからない中、気長に待つよりない。
とはいえなんとか7月中の入手が出来ないものかと考えているのであるが、現時点では確かなことは言いかねる有様。
他の三種の筆と同様、楽しみにお待ちいただければと思う次第である。
落款印01


calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    
<< June 2020 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM