筆四種

......昨今の物流事情にかかわらず、比較的順調に入荷が出来、一安心というところ。中国の地方都市から品物を送ってもらう場合、まずは深圳や上海の知り合いの元へ中国国内便で発送してもらいそこからDHLなりで送ってもらうと早い。地方都市から直接となると運輸会社も限られるうえに、余計に日数がかかる場合が多いのである。


前にご紹介した令月和風は純羊毫の長鋒筆であるが、他に三種類の筆を試みた。一種は羊毫と狼毫の兼毫筆、ほか二種は兎毫を芯とした兼毫筆である。


狼毫と羊毫の兼毫筆は李鼎和の羊狼毫大楷という筆をモデルにしている。芯は狼毫であるが、副毛の羊毫も弾性の調整と含水性に貢献している。昔の和筆には和様・唐様ともにこうした羊毫と狼毫の兼毫筆が多かったものであるが、最近はどうであろう。”大楷”としているが大楷といっても昔の大楷の事で、せいぜい5僖泪抗僂暴颪韻襯汽ぅ困瑠棺颪了である。
”楷書用”をうたっているが、何々用、というのは目安程度にお考えいただいた方がよく、行書や草書、あるいは仮名に応用されても好適であると思われる。


また、さる筆の収蔵家からお借りした兼毫筆の構造を調べ、再現したのがこの二種の兼毫筆である。
「紅豆」ないし「金不換」という筆については以前に述べた。静嘉堂文庫美術館の「唐筆一式」、あるいは「米庵蔵筆譜」には「水筆」ないし「京水」あるいは「京毫水筆」というような呼称の筆がある。これらの筆は科挙の受験用原稿を筆写目的で造られた筆であると推察している。
ほぐしてみると、芯には兎毫が使われ、羊毫を副毛としている。この羊毫は「京水」と称する場合は筆鋒の副毛が紅く染められている事が多いのであるが、単に水筆として場合は紅以外の着色もみられる。本来は筆鋒を赤く染めるべきなのかもしれないが、今回はあえて白い羊毫のままとした次第。いうなれば寫卷を大きくしたような筆であるが、科挙用の答案を筆写するならこれくらいの大きさがちょうどよかったのかもしれない。むろん、現代では科挙に挑む方もおられないであろうから寫卷を用いるよりもやや大きめの小楷や行草、尺牘などにお使いいただけると考えている。


「小龍爪」は兎毫を芯とし、これに兎毫をかぶせた純兎毫筆である。兎毫を芯とした場合、羊毫を副毛としたりあるいは狼毫を芯とし兎毫を副毛に用いる筆はあるが、兎毫のみで製せられた筆は昨今あまりみないかもしれない。強い弾性が特徴で、やはり寫卷に準じた使用法が合っているであろう。


こうした兼毫筆は江戸時代の日本にも多く輸入され、唐様をもっぱらとする書家の需要にこたえたと考えられる。日本では製筆材料となるような兎毫さらには製筆用の羊毫の入手が難しく、こうした水筆は輸入に頼っていたのかもしれない。実用の筆だけに現存するものは少ない。完整な品としては静嘉堂文庫美術館に収蔵された「唐筆一式」があるが、ほか、稀に散見される品にしても実際に使用するわけにはいかない。
羊毫全盛の現在ではあまり顧みられない筆であるが、昔の「唐筆」の書き味を試してみたい、という方もおられるであろう、いや自分自身が試してみたくて作ったような筆ではある。


今月はやや多忙で宿題もあり、ちょと文章やお店の準備が滞ってしまっている。販売までにはもう若干のお時間をいただきたい。他に新老坑の袖珍硯を数面リリースする予定である。今回の四種類の筆のリリースと併せて、もうしばらくお待ちいただければ幸いである。
 

落款印01


calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>

selected entries

categories

archives

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM