汪節庵黄山十八景 石柱

汪節庵(おうせつあん)黄山十八景(こうざんじゅうはっけい)のうちの一、「石柱」である。かつて18本全て揃った形で現れ、これもまた幾人かの好事家の手に渡っていった。そのうちの一本である。重さ16g程度の小さな墨である。
汪節庵黄山十八景 石柱汪節庵独特の精巧な型入れである。磨いて艶を出した跡も無く、ドライで、墨の素材感そのもののような肌合いである。このような見た目の質感は他の墨匠の作墨例には見られない。汪節庵黄山十八景 石柱木型に入れたノミ跡そのままに、触れなば切れんばかりの鋭いエッジが際立っている。徽派彫刻の精髄を見るかのような見事な墨模(すみがた)である。汪節庵黄山十八景 石柱背面の詩文も端正な楷書体で描かれており、筆致を忠実にかつ肉感的に彫り上げている。汪節庵黄山十八景 石柱汪節庵黄山十八景 石柱日本と中国の乾湿の違いによるものか、細かい亀裂が入り、その一部が欠けてしまっている。汪節庵のこの手の墨質の墨は特に環境の変化に弱く割れやすい。しかし、その欠け口はあたかも黒曜石の切片のように鋭利な光沢を見せており、緊張感溢れる作墨には畏敬の念を抱かずにはおれない。
先に掲載した紫玉光のように、放置していても堅牢な墨もあるが、汪近聖すら追随をゆるさない緻密な型入れの墨は、一様に割れやすい傾向があるように思われる。
「古墨は割れない」という人もいるが、古い墨は性質が安定しているため、春夏秋冬、常温で放置していても割れない墨は割れない。
墨は割れても修復が可能であるし、もとより使用する目的で購入する好事家は割れなど意に介さない人もいる。だが、やはりできる限り完整な姿を長くとどめておいてもらいたいものである。桐箱に入れ、温度、湿度の変化が少ない場所に保管しておいても、亀裂が入っていると少なからぬ動揺を覚える。
無論墨質は上々である。汪近聖や曹素功に比べて後発であり、その活動期間が短い汪節庵である。しかし短期日に汪近聖に比肩する名声を得た、その実力の源泉を見る思いがする墨である。
落款印01


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