墨を乾燥させること

墨を乾燥させる写真は別に積み木遊びをしているわけではなく、今秋(もうとっくに秋だが.....)にリリース予定の墨を乾燥させているところである。本来はカバーを取って乾燥させた方がいいかもしれない。
墨は適度に乾燥していることが肝要である。湿気を帯びていると膠の粘度が高くなり、磨っていても容易に濃くならない。良い墨のはずなのに、いくら磨っても濃くならない場合、墨の乾燥状態を疑うことも必要である。
この積み木のように墨を重ねて乾燥させる方法は、墨匠から教わったやり方である。墨面をなるべく均一に、空気に触れさせるためである。墨を平坦な場所に置くだけであれば、床に接した墨面の乾燥が遅れてしまう。結果的に墨が反ってしまったり、断裂の原因ともなる。
また、物を乾燥させるときには「風通しの良いところ」に置いた方がいいと考えてしまうが、墨の場合は禁物であるという。ショーケースや戸棚の中など、風や空気の動きがあまり起こらない場所におかなければならないという。実際は、同じサイズの墨をいくつも乾燥させなければならないという方もあまりおられないかもしれない。が、単体の墨を乾燥させて湿気を抜く場合も、多少の注意は必要である。
風の当たるところに放置されていた墨稀に上記のような墨を御覧になった方もおられるやもしれない。一面に細かい亀裂が起きてしまっている。ところがこの墨は、下の写真のように、その背面にはそのような細かい亀裂は生じていない。風の当たるところに放置されていた墨長く風が当たるような場所に放置されていた墨には、ままこういったことがおきるという。つまりヒビ割れしていない方を下にして、墨が放置されていた結果、さらされている反面に亀裂が入ってしまったのである。断裂ではなく、風化したかのような細かいひび割れというのは、風にさらされた場所で生じるものである。さすがに「そんなに始末悪い奴なんていない。」という声が聞こえてきそうだが、これは極端な例としても、墨の性質の一端までに。
墨は使用する以上、ある程度は外気に触れるのはやむを得ない。また、新しい墨の場合、まずは乾燥が進行した方が良いので、必ずしも密閉状態に置くべきとは限らない。ただしその場合も、長時間風が当たるような場所に置くのは禁物である。夏ならエアコンの風、冬なら暖房の熱気、ということになるだろうか。
墨は使い終われば水気をぬぐい、なんらかの容器に入れておくのがベターである。桐箱、ないし錦で作った布箱であれば申し分ないが、たとえ紙箱であっても入れておくに越したことはない。小さな箱に収納した後、さらに大きな桐箱に入れておけば、まずは安心できいる。もっとも、そこまでしても絶対に割れない、とは言い切れないのだが。
墨の乾燥状態を見るには、磨って墨色をみるのも手ではあるが、爪ではじいて「チンチン」ないし「カンカン」と、乾いた音がかえってくるのもひとつの目安である。湿気を吸って膠が重くなっていると、どうしてもトツトツとした湿った音になりがちである。
以上、墨色がさえないときは墨の乾燥状態を疑うことと、また乾燥のさせ方についていくつか注意点を述べてみた次第。蒸し暑い夏場などは、紙も湿気て重くなり、墨の膠も重くなりがちである。良いことはないものだ。

さて、乾燥させている墨であるが、完成してからほぼ2年ほど手元に置いて経過を見てきている。この墨についてはいずれご紹介したいが、久しぶりにリリースする、古法油煙墨の新しい製品である。楽しみにお待ちいただければと思う。
落款印01


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