亀苓膏店の効能書き

香港の薬湯店以前に朋友にこれを教えられて以来、香港ではたまに亀苓膏(きれいこう:カメゼリー)の店に寄るようになった。亀ゼリーといっても、”カメ”の味はまったくしない。それは市販の”ゼラチン”で造ったゼリーが、牛の味がしないのと同じことで、プーアル茶を濃く煮だしたような風味がついている。もともと甘い物ではなく、好みでシロップをかけて食べるだけなので、さほどあまい物が得意でない小生でも食べられる。さまざまな薬効があり、美容にも良いと言われる。しかし小生の場合は、薬効をもとめて食べるというよりは、小腹がすいた時の低カロリーなおやつとして利用している。
この亀苓膏の店は香港のいたるところにあり、”涼茶舗”といって、亀苓膏以外も漢方薬を煮出した涼茶(薬湯)や漢方薬材を売る店もある。
香港の薬湯店香港の薬湯店香港島は中環(セントラル)界隈のとある亀苓膏の店で、壁に掲げられた額が目に留まった。よく見ると亀苓膏や、酸梅湯などの薬効について書かれている。その布局(文字の配置)や、しっかり書かれた楷書の雄渾な筆致が古風で気に入った。入筆終筆の柔らかさから察するに、使用している筆はおそらくは羊毫、相応の筆力がなければ柔らかい筆でこう端整には書くことができない。
「誰が描いたのですか?」と聞くと、この店の創業者、現在の店主の祖父なのだそうだ。
昔はこれくらいの楷書を書ける人は、香港の街のいたるところにいたのかもしれないが、今はおそらく稀だろう。香港の街でも、印刷されたメニューが大半である。
おそらく作品として書いたというわけではなく、あくまでお店のメニューの解説なのであるから、使用している紙も墨も凡庸なものでしかないわけではある。が、なんとなく惹きつけられるものがある。それは、昨今の大陸の書法に食傷気味だったせいかもしれない。
香港の薬湯店香港の薬湯店自分自身、書画の好みは”超保守的”なので、日本ではいわゆる”書道家”という人とはほとんど話が合わない。最近流行している、”ケレン”味のみを追求したような、派手派手しいだけの書の傾向には正直ついてゆけないものを感じている。
ところが最近の大陸の書法もどういうわけか、”あざとさ”が目立つ書風が多くなった。線に力が無く、弱弱しくヒラヒラした筆致が氾濫しているような印象を持つのは小生だけであろうか?ボールペンを毛筆に持ち替えて、適当に流して書いたような書が多いのである。それはそれで時代の好みなのだ、と言われればそうなのかもしれないが。
なんてことは無い亀苓膏店のメニューなのであるが、では「これくらいすぐに書けますか?」と言われた時に、巷間の書道家、書法家で、どれくらいの人が可能だろう?などとちょっと考えて見たくなる。無論、お手本なんかない。
「紙と墨を用意するから、何か書いてほしいな。」と思ってお店の人に尋ねてみたのだが、もう亡くなられたという事で、残念な思いがした。
落款印01


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